クリニック開業の際に、各種届出が必要になります。今回はクリニック開業に際して必要になる届出情報をまとめます。
管轄保健所への届出
診療所開設届を地域を管轄する保健所へ届出なければなりません。
医療法第8条によると、開設した日から10日以内に所管の保健所に届け出ることになっているのですが、実際には開院のずっと前から事前打ち合わせが必要です。
事前に打ち合わせておくべき事項としては、
- クリニック名:地域に似た名前のクリニックはないか等
- 院内レイアウト:あまりに奇抜だと指導が入ります
- 開設届の書き方、添付書類に関する内容を指導してもらう
これらの打ち合わせを通して盤石の体制で、保健所立入検査を乗り切ります。
当日は簡単な質問をされながら、保健所の職員さん(私の時はベテランと新人の二人組でした)と院内を巡ります。図面通りのレイアウトか、患者のプライバシーは守られるかなどをチェックしていました。
立ち入りが無事に終わると、2日後くらいに「診療所開設届の副本」をもらうことができます。 この副本が次の「保険医療機関申請書」の取得に必要となります。
私の場合、この立入検査が開業のちょうど1ヶ月くらい前に行われました。
厚生労働省地方厚生局への届出
保健所からのクリニック開設許可を得ただけでは自由診療しかできません。
クリニックが保険医療機関として認可されるには、厚生労働省の地方の厚生局(東京都内なら関東信越厚生局)へ「保険医療機関申請書」を提出する必要があります。
厚生局のホームページに届出書の雛形があるので、そこで手に入れれば大丈夫です。
注意したいのが、保険医療機関としての指定が毎月1日付になっていて、前月に締め切り日があるということです。締め切り日は地域毎に異なるようですが、締め切りに間に合わなければ開業できる状態でも丸々1ヶ月間は診療ができない状態になってしまいます。
ちなみに東京の締め切り日は、前月の10日でした。
私は届出の際に必要となる「医師臨床研修修了登録証」がどうしても手元になく、あわや締め切りに間に合わない事態になりそうでした。すでにスタッフを雇用していたので、人件費や家賃が1ヶ月分全てマイナスになってしまうところです。
家の中をひっくり返し研修病院まで電話をかけたりして捜索しましたが、結局実家のタンスから出てきたときには肝を冷やしました。
無事に受理されると、国保や社保のレセプト請求ができるようになります。それぞれの事務所からレセプト請求に関する案内が来て、オンライン請求などする場合はセットアップを行うことになります。
診療用エックス線装置備付届
レントゲンをクリニックに配備した際には届出が必要になります。
私も入れましたが、届出自体はレントゲン装置の会社が代行して行ってくれました。
麻薬管理者・施用者免許申請書
勤務者として過ごしていたところとクリニック所在地が異なる都道府県であったため、申請を行いました。所轄の保健所に申請します。
労災保険指定医療機関指定申請書
労災の患者さんをみるクリニックでは申請しておきます。労働基準監督署へ申請を行います。
まとめ
文章量を見ていただければ分かる通り、診療所開設届と保険医療機関申請書がクリニック開業届出のキモになります。次のステップに行くためにカギになる書類が必要になったりでRPGみたいでした。取得までの道筋は1本ですので、スケジューリングや事前準備を誤ると大きく開業が遅れることになります。十分に余裕をもって開業に向けた準備期間を取ることをオススメします。