クリニック運営していく中で必要になるのが、就業規則です。就業規則を作成しておくことで、口約束がなくなって雇用者・被雇用者ともにストレスが減少します。従業員に対してペナルティを課す場合にも、就業規則に沿って伝えればそうでない場合に比べて経営者への反感が軽減すると期待できます。
就業規則とは
就業規則とは、クリニックやその従業員が守るべきルールを定めたものです。
クリニックが人を雇い入れるときは、働いてもらう時間、支払う賃金の額、仕事の内容、休日などについてあらかじめ「約束」しておかなければスムーズに働いてもらうことはできません。
この「約束」を民法では、「雇用は当事者の一方が相手方に対して労務に服する(働くこと)を約束して、相手方がその労務に対して報酬を支払うことを約束することによって効力を生ずる(民法第623条)」とする「契約」の一種として定めています。
人を雇用することは「契約行為」そのものであるということになるので、一定のルールに基づいている必要があります。
就業規則についての決まりごと
厚生労働省のウェブサイトによると、
常時10人以上の従業員を使用する使用者は、労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条の規定により、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督 署長に届け出なければならないとされています。就業規則を変更する場合も同様に、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。
ということです。開業時から常時10人以上の従業員を雇用するケースは稀ですが、事業規模が拡大すれば必要になるものですので予め作成しておくことをお勧めします。
モデル就業規則のまるパクリで簡単に作成
厚生労働省ウェブサイトには、モデル就業規則が無料でダウンロードできます。
モデル就業規則全体版(Word):https://www.mhlw.go.jp/content/000496427.doc
モデル就業規則全体版(PDF):https://www.mhlw.go.jp/content/000496428.pdf
私もここからモデル就業規則をダウンロードし、クリニックの現状に合わせて修正し作成しました。
数時間くらいで作成は終わった記憶がありますが、第1章〜14章まであり気持ち的には滅入ります。
最近のトピックスとしては、「副業の禁止」が盛り込まれなくなったことです。当院ではもともと副業を解禁していますが、副業を禁止したい場合は文言を新たに付け加える必要があるので注意が必要です。
一通り作成した後、顧問税理士(当院には顧問社労士がいないため)に一通り目を通してもらいおかしい点がないか指摘してもらうようお願いしました。
開院してからは、就業規則を当院のウェブマニュアルにアップロードして、全ての従業員がいつでもアクセスできるようにしています。
社労士さんに丸投げ
お時間がない、あるいは自分で作成するのが面倒だと思う先生は、社労士さんにお願いしてしまうのも良いかもしれません。
「社労士 就業規則 費用」などとGoogle検索するだけで、色々とウェブサイトが見つかります。
社労士事務所によってかなり価格が異なるようなので、相見積もりを取ってから作成をお願いした方が良さそうですね。どうやら数万円〜20万円くらいが相場なようです。
開業費用をできる限り抑えたい先生は、DIYするのがお勧めです。
まとめ
就業規則の作成方法についてまとめました。厚生労働省モデル就業規則があるため、そこから大幅に逸脱しなければ問題なく作成できると思います。ぜひ一度トライしてみることをお勧めします。